スポーツ店などで売られているプロテインの多くは、牛乳が原材料のホエイプロテインと呼ばれるものです。
そう、プロテインって意外と馴染みのあるものから作られているんですねぇ。
そんなホエイプロテイン、いくつか種類があって自分に合ったものをチョイスしないと筋トレにかけた時間がムダになるかもしれないという事、ご存じですか?
そもそもホエイプロテインって何、ですよね
ホエイプロテインとは、牛乳から余分なものを取り除き、栄養を凝縮したものです。
その栄養のメインがタンパク質。
ヨーグルトの上に半透明の液体が溜まっている事がありますよね。
その半透明の液体を乳清というのですが、その乳清の別名がホエイです。
店頭で売られているホエイプロテインは、この乳清をパウダー状にしたもの、すぐ摂取できるように飲みやすいドリンク状にしたものなのです。
そして、ホエイプロテインの特徴は吸収速度が速い事。
速やかに吸収されるように加工してあるので、摂取してから1~2時間で吸収されます。
ちなみに、肉からタンパク質を摂取しようとした場合、肉が胃で消化されるのに2~4時間かかる(調理方法や脂肪量で消化時間は変わります)ので、吸収までに時間を要します。
ホエイプロテインにはWPCやWPIなど種類がある
ホエイプロテインには、製法の違いでいくつか種類があります。
その製法の違いで成分も変わってくるので、その違いをご説明しましょう。
① WPC(Whey Protein Concentrate)
WPC、もしくはコンセントレートと言います。
WPCは一番多く出回っているホエイプロテインで、店頭に並んでいるホエイプロテインの7割以上がこのWPCです。
牛乳をフィルターでろ過し、余分なものを取り除いて濃縮してパウダー状にしたホエイプロテイン。
低脂肪牛乳をギュッと濃縮して乾燥させた感じです。
なので、ノンフレーバーのWPCを水に溶かした味は低脂肪牛乳に似ています。
WPCのタンパク質含有率は70~80%(フレーバーによる)ぐらい。
WPC100g中70~80gがタンパク質という事です。
牛乳100gあたりのタンパク質含有量は3.3g(文部科学省食品データベース参照)なので、どれだけ濃縮されているかがわかりますね。
牛乳には乳糖という成分が含まれているのですが、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロして下痢をしてしまう原因がこの乳糖です。
この乳糖、WPCにも含まれていて、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロして下痢になってしまうという人は、WPCを飲んでも同じような症状が出ます。
乳糖については後で詳しくお話しますね。
② WPI(Whey Protein Isolate)
WPI、もしくはアイソレートと言い、WPCの次に多いホエイプロテインがこのWPIです。
イオン交換法という製法でWPCを更に精製してタンパク質純度を高めています。
そのタンパク質含有率は80~90%(フレーバーによる)ぐらいで、WPI100g中80~90gがタンパク質という事ですね。
WPCには含まれていた乳糖がWPIにはほとんど含まれていない(0ではない)ため、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人はWPIを選ぶとイイでしょう。
③ CFM、WPHなどその他
WPCとWPIの他に、CFMやWPHというホエイプロテインもありますが、数が出回っていないうえにメジャーではないので、特に覚える必要はないでしょう。
ただ、タンパク質含有量が90%以上のホエイプロテイン、ぐらいは覚えておいてもイイかもしれませんね。
WPC・WPIそれぞれのメリット・デメリット
ここからはホエイプロテインの中でメジャーなWPCとWPIに絞ってお話していきます。
上記でお話したように、WPCとWPIにはタンパク質含有量や乳糖の有無の違いがありますが他に何か違いはあるのでしょうか。
・・・あるんです!!(川平慈英の声マネで)
WPCのメリット
- 販売店が多いので購入しやすい
- 価格が安い
- フレーバーが豊富で自分好みのフレーバーを選べる
ホエイプロテインの多くはWPCのため、取り扱っているお店が多く、全国どこでも比較的簡単に購入する事ができます。
スポーツショップはもちろん、ドラッグストアやスーパーなんかでも取り扱っている所があるぐらいです。
価格はブランドや内容量(大容量のものほど単価が安い)にもよりますが、ホエイプロテインの中では安価で1kgあたり1000円台~になります。
フレーバーの種類が豊富で自分好みのフレーバーを選ぶ事ができますし、いくつかのフレーバーを気分で変えて飲む事ができるので飽きずに飲み続けられます。
WPCのデメリット
- カロリーが高め
- お腹がゴロゴロする人もいる
牛乳をフィルターでろ過しているWPCでも、タンパク質以外の成分を全て取り除いているというワケではありません。
牛乳にもともと含まれている炭水化物や脂質もWPCには含まれているため、WPC1回分(20~30g)のカロリーは100~150kcalぐらいになります。
ご飯茶碗少なめ一杯分と同じぐらいのカロリーです。
また、乳糖が含まれているため、お腹がゴロゴロしてしまう人もいます。
WPIのメリット
- タンパク質含有率が高い
- カロリーが少ない
- 吸収が速い
- お腹がゴロゴロしにくい
WPCより精製されている(タンパク質以外のものを除去している)ためタンパク質含有率が高く、それによってカロリーが抑えられています。
WPI1回分(20~30g)のカロリーは80~120kcalぐらい。
WPCとWPIの1回分のカロリーの差はそこまで気にする差ではありませんが、毎日しっかりカロリー計算をして減量している人にとってこのわずかな差は気になる所でしょう。
WPCのカロリーを150kcal、WPIのカロリーを100kcalとした場合、1日に2回ホエイプロテインを飲むとしたらその差は(150kcal-100kcal)×2回=1日100kcalです。
1ヵ月で計算すると、100kcal×30日=3000kcalになり、結構な差になりますね。
吸収速度についてですが、WPCも十分吸収速度は速いのですが、WPIの方がもっと早く吸収されます。
WPIのデメリット
- WPCより取扱数が少ない
- WPCに比べ価格が高い
- WPCに比べ味が良くない
ホエイプロテインの大半をWPCが締めるので、ドラッグストアやスーパーなどスポーツ店以外の店ではWPIを取り扱っていない場合があります。
WPCを更に精製しているため、工程数が多い分WPIの価格はWPCより高く、安くても1kgあたり2000円台~でしょう。
昔のプロテインは不味くて我慢して飲まなければいけないものが多かったのですが、最近のプロテインは不味くて我慢しなきゃ飲めないレベルのものはほとんどありません。
しかし、炭水化物や脂質を除去しているWPIは、WPCに比べ味は良くない傾向です。(比べたら、です)
牛乳でも無調整牛乳と低脂肪牛乳を飲み比べると、無調整牛乳の方はコクがあって旨味を感じますよね。
WPCとWPIの味の差はそれと同じような感じだと思ってください。
WPCのストロベリー味とWPIのストロベリー味を比べると、同じストロベリー味でもWPCのストロベリー味の方が美味しく感じる、という事です。
WPC・WPIの重要ポイント『乳糖』
さて、ここまでで何回か登場した『乳糖』ですが、いよいよ詳しくお話する時が来ました。
乳糖とは、哺乳類の母乳に含まれている成分で、ホエイプロテインの原材料の牛乳にも含まれている成分です。
そして、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロして腹痛や下痢をしてしまう人はこの乳糖が原因。

なぜ乳糖でお腹がゴロゴロするんだろう
乳糖は小腸でラクターゼという酵素でブドウ糖とガラクトースというものに分解されてから吸収されます。
このラクターゼという酵素が少ない人・働きが弱い人は乳糖を分解できないため吸収する事ができず、腸内の乳糖が水分を引き寄せ、お腹がゴロゴロして下痢をしてしまうのです。
このような症状を乳糖不耐症と言います。
日本人のほとんどは乳糖不耐症
日本人の7割以上が乳糖不耐症と言われていて、研究グループによっては9割が乳糖不耐症だという結果を出している所があるぐらいです。
もちろん、症状の出方には個人差があります。
牛乳を少し飲んだだけでもお腹がゴロゴロしてしまう人もいれば、乳糖不耐症でもコップ1~2杯程度の牛乳では症状が出ない人もいます。
乳糖不耐症の人はWPCを飲んでも症状が出る
牛乳が原材料のホエイプロテインの中でも乳糖が含まれているWPC。
もうお分かりだとは思いますが、乳糖不耐症の人がWPCを飲むとお腹がゴロゴロ&下痢をしてしまう可能性が高いのです。
下痢をするという事は消化器官が正常に働いていないという事ですから、プロテインから栄養を取り入れようとしているのに吸収されずに排泄されてしまうという事になります。
これではプロテインを飲んでもムダになってしまいますよね。
乳糖不耐症の人はWPIをチョイスする
もし、あなたが乳糖不耐症でこれからホエイプロテインを飲むのに不安があるとしたら、WPCではなくWPIを購入しましょう。
WPIは乳糖が除去されているので、牛乳やWPCでお腹がゴロゴロしてしまう人でもプロテインの栄養をしっかり吸収できる事でしょう。
た・だ・し。
WPIでも乳糖を100%除去できているわけではありません。
ホント微量ですが乳糖が含まれているので、重度の乳糖不耐症の人はWPIでもお腹がゴロゴロしてしまうかもしれません。
乳糖不耐症の人のホエイプロテイン対処法
乳糖不耐症の人はWPIを購入・摂取するようにしましょう。
ほとんどの人はそれで大丈夫なはずです。
ですが、重度の乳糖不耐症でWPIでもお腹がゴロゴロしてしまうという人は、1回の量を少なくして1回分を数回に分けて飲んでみてください。
例えば、1回に30gのプロテインを摂取するようにとパッケージに書いてある場合、30gを10g×3回に分けて飲むか、15g×2回に分けて飲む、というワケです。
あまり間隔を空け過ぎても良くないので、10~30分ぐらい間隔を空けて1時間で1回分を飲みきるのがイイかもしれません。
もしくは、しばらくの期間1回10gの摂取にしてみて、大丈夫そうなら20gでしばらく様子をみて、最終的に1回で30g飲みきる所までもっていく、という方法もあります。
乳糖不耐症は、少しずつ繰り返し乳製品を摂取しているとラクターゼ酵素の誘導が起こって、症状が軽くなるor症状が出なくなる事があるので、このように少量を体に入れて慣れさす、というワケです。
ホエイプロテインの飲み方
どのプロテインのパッケージ裏にも記載されている「水や牛乳など、お好みのお飲み物に溶かしてお飲み下さい」というような文章。
「パッケージに書いてあるんだから間違いない内容だ」と思いますよね。
実はここに罠があります。
ホエイプロテインは牛乳で飲んではいけない
ホエイプロテイン初心者や、ホエイプロテインをよく理解していない人に多いのが、ホエイプロテインを牛乳に溶かして飲むという行為。
正直、ホエイプロテインを牛乳で飲むのはめちゃくちゃ美味しいです。
チョコレート味を牛乳に溶かせばミルクチョコレート味になりますし、ストロベリー味を牛乳に溶かせばイチゴミルク味になります。
でも、ホエイプロテインを牛乳に溶かして飲むのは間違った行為なんです。
冒頭でもお話しましたが、ホエイプロテインは牛乳から余分なものを除去してタンパク質を凝縮し、素早く吸収されるように加工してあります。
せっかく牛乳を加工して吸収されやすい状態にしているのに、牛乳に溶かして飲んでしまったら意味がありません。
それに、乳糖不耐症の人がわざわざWPIを購入しても牛乳に溶かして飲んでしまえば、乳糖が除去されているWPIに牛乳の乳糖をプラスして飲む事になってしまいます。
以上の理由から、ホエイプロテインは水に溶かして飲むのが基本になります。
ホエイプロテインを牛乳で飲んでもイイ場合もある
上でホエイプロテインは牛乳に溶かして飲んではいけないとお話しましたが、乳糖不耐症でなければ牛乳で飲んでもイイ場合もあります。
それは就寝前。
ホエイプロテインは吸収が速いので飲んで1~2時間後には吸収されてしまいます。
普段はそれでイイのですが、睡眠中にゆっくり吸収させたい時はあえて牛乳に溶かして飲むと吸収速度をゆっくりにしてあげる事ができます。
寝ている数時間は栄養摂取ができないわけですから、わざと吸収速度を遅くしてゆっくり吸収させるというワケです。
それともうひとつ、空腹を紛らわすためにホエイプロテインを牛乳に溶かして飲むという方法もあります。
牛乳に溶かして飲む事で腹もちを良くし、余計な間食をせずに必要な栄養だけを摂取する事を目的としています。
吸収速度をゆっくりにしたり腹もち良くしたりを考えた場合は、特濃牛乳のような脂肪分が多いものほどその効果は高くなります。
このように、ホエイプロテインの特性を理解しているのなら牛乳に溶かして飲んでもイイ場合もあるのです。
WPCとWPIの特徴を理解する事で筋肥大を加速させられる
WPCとWPI、同じホエイプロテインでも特徴が違います。
どう違うのかを理解する事で、しっかりとムダなく筋肉に栄養を届ける事ができるでしょう。
いくら筋トレをしてプロテインを飲んでも、筋肉の材料を吸収できなければただただ時間がムダになってしまうだけ。

プロテインのパッケージには必ずWPCなのかWPIなのかが記載してあるから買う時は必ず確認をしてくれよな!ガハハ!